顔面読書日記
毎週水曜日に更新予定(多分、できたら)



リングワールド解説
リングワールド解説図

02.6.13
『リングワールド』を読んだぞ。SFの必読書のひとつにあげられることが多い作品なのだが、分厚さに恐れをなして、今まで遠巻きにしてたのだ。ふっふっふ、分厚さを感じることなく読み終わったよ。

石橋を叩いて渡る(しかも他人に叩かせる)パペッティア人。
生まれついての戦士クジン人。
彼らと旅を共にする地球人。その地球人が持つ特質とは?
これがホントにカホナ!(なんて馬鹿な!の意)

これから読む人のためにリングワールドを図解しときましょう。これさえ頭に入っていればSF苦手な人も大丈夫。多分ね。
太陽の周りに帯状の人工物が取り巻いてます。拡大すると、帯は両端に高い壁のある凹型。凹型に山、川、海、平地が収まってます。卵みたいなものは読んでのお楽しみ。
1の部分は夜を作るためのプレート。
さてさて、これを作ったのは誰なのでしょう。ここで生活してるのは何者?


『リングワールド』ラリイ・ニーブン 作・小隅黎 訳
ハヤカワ文庫 ¥880

ラリイ・ニーブンって人は根っから明るいんだなー。カホナ!




02.6.5
津原泰水はなんだか変なのである。「妖都」を読んだとき何じゃこりゃだったのだ。耽美かと思えばやぶれかぶれの体育会系が活躍する。

今回読んでいたのは『蘆屋家の崩壊』
幻想怪奇短編集。暑くなったら怪奇ものです。怖い話が詰まってる。「猫背の女」は背筋ぞくぞく。「埋葬虫」は気持ち悪い。でもやっぱり変てこなんだな、これが。本のタイトルになってる「蘆屋家の崩壊」では本当に書きたかったのは豆腐談義だったのかとまで思わせる。まあタイトルがダジャレだもん。怖いけど変。そして面白い。


『蘆屋家の崩壊』津原泰水
集英社文庫 ¥533

小説家の伯爵とぶらぶらしてる猿渡氏。このコンビが次々に不条理怪奇な出来事に首を突っ込むのだ。恐い目にあってもあっても恐怖が身に付かない猿渡って本当にすごいキャラです。
読んで損無し。


着物で着物本
いつか、こんなのを一枚。
野望の広がる着物暮らし。

02.5.15
ついつい見入ってしまう一冊。
『きものがたり』宮尾登美子
友達のうちでワードローブを見せてもらうのは結構楽しい。こないだ白のシャツを買ったんだけど見る? なんてね。
しかし一番スリリングで面白いのは着物を見せてもらうとき。はなはだ興奮する。一枚一枚丹念に見てゆく。見せる方も気合いの入り方が違う。
洋服なら買った場所とブランド名を聞くだけであらかた想像できる。しかし、着物ときたら。

「ねえ、この地色の灰がかった水色、いいでしょう。この色が気に入っちゃって。濃いめの色なら安いのであったのに、やっぱりこの色なのよねえ。思い切って買ってしまったのよ。ボーナス出たしね、って言い訳しながらね。去年母からもらった帯を合わせるとちょっとお出かけっぽくない? 半襟は濃いめを持ってきたほうがすっきり見えるかなあ。ピンクじゃ子供っぽい? それからこっちはねえ‥‥」
えんえん続くのだ。語るつもりなら一晩でも。

着物は形が定まっている分、色柄素材が豊富。組み合わせで自分色を出してゆく。ファッション雑誌の一週間着回し術なぞ足元にも及ばないのだ。
買い物の中でもイベント色の濃い着物関係。着物にまつわるエピソードにもことかかない。洋服では思いもつかない失敗話も楽しみのひとつ。

さて、作家宮尾登美子さんのタンスの中は?


『きものがたり』宮尾登美子
文春文庫 ¥857

ご本人はまえがきで謙遜されてるが、謙遜がイヤミに聞こえるほど涎もののタンスの中身。着物がいっぱい見られて幸せ。