顔面読書日記
毎週水曜日に更新予定


テレビはこんなん
テレビの中ではどんな顔もどんな出来事も事件も
羊羹のひときれ

02.2.27
読み始めてから緊張しっぱなし。ゆさぶりをかける手はほんのちょっとも休まない

『模倣犯』はすごい。

じっくり読むなんて不可能! 
涙でぐしょぐしょになりながら、次のページへ次のページへ心が追い立てられるのだ。この感じは『屍鬼』小野不由美以来。でも『屍鬼』にあった中盤のイライラは全く無し。読んでるこちらが、気持ちを立て直す間が全く無いのだ。

SFで泣けると思わなかった『たったひとつの冴えたやりかた』
ホラーで泣けると思わなかった『屍鬼』
ミステリで泣けると思わなかった『模倣犯』
重荷を背負わされるのは『模倣犯』
この物語が重いのは、読んでる自分がこの犯罪に荷担してると思わされるから。

『模倣犯』宮部みゆき作 小学館 上下巻ともに¥1900


コーティの記録
15才の少女の友達は?

02.2.20
SFを読んでてうるうるくるとは。不覚にも涙が止まりませんでした。

『たったひとつの冴えたやりかた』はいい! 不意をつかれてしまったなあ。

無鉄砲に宇宙に飛び出した少女がエイリアンと出会い、友情を深めていく話。こう書くと平凡SFみたいだわね。しかし平凡じゃない状況が二人をとりかこんでるのだ。これを読んでハンカチやティッシュを捜す羽目になったのはわたしだけじゃないはず。

SFもファンタジーも感動の源は人間の普遍的な心情なのよ。

これを読んで胸を痛めない人は「カビカビでパカパカの心臓」の持ち主。そんな人は3昼夜くらい柔軟剤につかるべきだね。
ただ‥‥友情もので泣けるのに、恋愛もので泣けないのはどうしてだろう。もしやわたしも「カビカビでパカパカの心臓」?

『たったひとつの冴えたやりかた』 
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア作 朝倉久志訳
ハヤカワ文庫 ¥720



伝説から神話へ

02.2.13
完結編が出ました。たつみや章『月冠の巫王』なのだよ。『げっかんのふおう』と読みまする。

『月神の統べる森で』『天地のはざま』『地の掟、月のまなざし』を締めくくる完結編なのだ。縄文時代から弥生時代への移行期が舞台。ふたつの文化が衝突したとき、どんなことが起こったのか、想像するだにスケールのでかい話なのだ。
この物語はわたしの好きなものがてんこ盛り。成長する物語。旅をする物語。人間の両面についての物語。不思議についての物語。人間の中の獣性についての物語。

うっはー、こういう風に終わるのね。これから読み出す人はノンストップでここまでこれるのか。心底いいなー。みんな読め読め。
この4部作を土台にまた新たな物語ができそうな気がするのだ。たつみやさん、お願い。書いてください。

『月冠の巫王』たつみや章作 講談社 ¥1600

挿し絵と表紙は東逸子。美しくて甘味少な目。子どもの頃読んだら、きっとこの挿し絵を夢中でまねっこしただろうな。今、うちの娘がそれやってます。
あっ、この本は児童文学コーナーに置いてありますからね。