寂しいの?
インターネット中毒・真面目な忠告です
キンバリー・ヤング 小田嶋由美子訳
毎日新聞社 1800円
ホントに真面目な忠告である。
インターネットを利用する人は読んでおいた方がいいと思います。
日本にもネットで身を持ち崩す人が出てきてるもの。


こんなに世間の狭い私のところへも、チャットで知り合って結婚するとか、メル友から始まった愛、果ては怪しい出会い系サイトで愛人ゲットなんて話が届いてくる時代である。しかも知り合ってからゴールまでの速さといったら高橋尚子もびっくりの金メダル級だ。世の人々の一部分は、大いにインターネットを活用し愛用し、かつまた実用しているのである。

出会い系サイトの人とは、しばらく前にじっくり話を聞く機会があったので、取材するぞの意気込みであれこれ聞き出したのだが・・・。

ベースにはひとりで耐えていたくないほどの寂しさがあったらしい。話の展開はわかる。しかしどうしてその場をインターネットに求めるのかについてはちっとも共感できないのだ。

おおい!大丈夫なんですかい?わたしは話についてゆけない。

わからないものを延々考えるのが好きな私は、この冬じっくり考えました。
結果、想像力の無いものはネット恋愛はできない。っつーことです。メールやチャットで恋愛感情まで発展するには、普通の会話から相手の微細な感情を読みとる能力と、行間を読むという高度な知能が必要とされるのです。

わたしは妄想癖があると以前書きましたが、文学と映画スターは自分にとってちっとも現実ではないので、安心して妄想できるのです。メールやチャットはネットの向こうに現実の人間が存在している。今キーボードに向かってる生身の人間が居るのだ。妄想の対象にしてしまっては申し訳ないのである。妄想は自分の灰色の脳細胞の仕業。相手の気持ちと自分の期待を混同する危険は大ありです。

行間を読むのは、普通の恋愛でも必要とされる能力ですね。恋愛上手とメール上手は共通項が多いのでしょう。若い頃は、まちがった読み方やら、逆さまの読み方をして、さんざん失敗こいたわたしは、今更その能力を試そう、とは思わないんである。もう読むのはめんどうだ

まめにメールをやりとりしても、百聞は一見に如かずという名言があるじゃない。メールでは伝わらないものがあるでしょう、とアナログなおばさんは思うのである。例えば、わたしの魅力は実際に会わないと解らないたぐいのものがたくさんある。身振りが大きくテーブルのコップをたたき落としそうで周りがはらはらするとか、声がでかいとか、時折つばが飛ぶとか、人の話を聞かないとか・・・。こうゆうのは決してメールでは伝わりません。わたしだって知らない人にはいい格好したいもの。メールの相手もそう思ってるだろうなあと推測されるのである。

うちには能力が試されるメールは来た試しがないのである。私のせまい体験ではここまでの想像しかできません。

それとも、行間なしで充分ですの濃密なメールが飛び交ってるのかあああ!
それは一度読んでみたいぞ。

一生、縁がなさそうである。


インターネット中毒・真面目な忠告です
キンバリー・ヤング 小田嶋由美子訳
毎日新聞社 1800円

心を狂わせ、生活を壊す、サイバー空間の底無しの〈魅惑〉。と帯に書いてある。おどろおどろしいのである。インターネットをしていたら時間の感覚を失っていた「コンピュータ・タイム・ワープ」は私も体験あり。パチンコしてるときと一緒か?自制と自省は必要だよね。寂しさはてくてく自分で埋めるしかないんだよなあ。