本でコケるかもしれない

渡辺淳一(読んだこと一切なし)
サラ・パレツキーのVI ・ウォーショースキーシリーズ


例えば、「土曜ワイドの女」がいた。まあ、友達だったのかなあ(ちと自信がない)
この彼女、なかなかに美人でありおとなしげだったが、やることは大胆だった。ある晩、泣きじゃくりながら電話をしてきた。
「すぐ来て。わたし耐えられない。」
緊迫した様子だったから自転車こいで行きました。でてきた彼女は泣きすぎて顔がむくんでいた上に左ほおに殴られた跡がくっきりはっきり。
きゃあああああ〜!!!
彼女の恋愛はなかなかに痛いらしかった。

この後、彼女のお母さんまでがこんがらかってきて、ドラマみたいな展開になっていったのだった。
あれよ。あれよ。

例えば、「火曜サスペンスの女」が居た。昔、独り暮らしをしていたときの隣人だった。この彼女、見た目は華奢ではかなげなのに、やることは大胆だった。ある晩、ノックの音にドアを開けてみれば、なんとそこにはバンザイした隣人が!興奮でピンクに上気し、目が変に輝いている。しかもしかも右手にかみそり、左手は真っ赤!!!なのだった。
ひえええええ〜!!!
彼女の恋愛は非常にきびしいものらしかった。

数分後、心配した友人達がやってきたり、当の彼が血相変えてやってきたりで、うちの貧乏アパートは大変な騒ぎになった。(正直言ったら、面白かったです。はい。)
この後、無言電話の応酬だの、脅迫状だのなんだの、ドラマみたいな展開になっていったのだった。
あれよ。あれよ。

この二人は本当によく似ていた。よくしゃべる。人の話は聞かない。情感第一主義。
わたしは大人だけどあなたはまだまだ子どもねえ、わたしにはこんな情熱的でロマンチックな世界が開けてるのよ。うらやましいでしょ。憧れるでしょう。(うんにゃ)

性格以上にそっくりだったのは、彼女らの部屋の本棚である!
小さな本棚2段に渡辺淳一と女性週刊誌が詰まっていたのだ。

それ以来、どんなに「ひとひらの雪」が話題になろうが、黒木瞳や役所光司が頑張っていても、渡辺淳一ワールドには近寄らないようにしている。よけて通る。あの二人が強烈にこびりついているので、とても手に取る気にはなれないのだ。(渡辺淳一が好きな人、ごめんなさいね。)

わたしゃ、こうして渡辺淳一と線を引いてるわけだけど、逆から見たらすんごいことだよね。これほどまでに人生に影響を与えてる作家って他に見たことないよ。わたしの周りのごくせまい範囲の出来事だけど、せまい範囲に二人も出現てすごくないか?

とか書いてるわたしも、実はサラ・パレツキーの「VI・ウォーショースキー」ものを読むとはまっちゃうのだ。きびしい表情のかっこいい主人公を味わってしまうと、どうにもこうにも喧嘩っ早く、理屈っぽくなってしまうのである。何度これでトラブったことか。けんかの原因を探っていくと奥の奥に「バーニング・シーズン」読んだからなんて言い訳できない理由が横たわっていて情けないのだった。

みなさん、読書はほどほどに。
小説は現実を食って太っていくし、現実も小説食って肥満する。


渡辺淳一のものいろいろ
わたしに聞かないで

v・I・ウォーショースキーもの
サラ・パレツキー 山本やよい訳
サマー・タイムブルース・ハヤカワ文庫(これがシリーズ最初の作)

なんのかんのいって、こんなカッコいい女はなかなか居ないんである。だからこういうサイトもあるわけです。カバーが江口寿史なのもぐっときちゃうのよ。
最新刊は「ハードタイム」ハヤカワミステリ。2000円なり。なぜに文庫で始まったシリーズなのに文庫で出版にならないのじゃ?唯一そこが不満。

今読んだら、またどっかで喧嘩しちゃうかもしれないので、文庫になるまでじっと待つ。この本についてはわたしに話しかけないこと。文庫になったら語り明かしましょう。しかし、それまで我慢が続くだろうか・・・・