顔面読書日記28
多分毎週水曜更新。


ガリベスピアン
好きなキャラその1
トンボに乗ってスパイ活動。
ガリベスピアン一族。

02.10.8

ハリポタよりスリリング、ネシャン・サーガより先の読めない展開、骨太ファンタジーのご紹介。
「黄金の羅針盤」
「神秘の短剣」
「琥珀の望遠鏡」

フィリップ・プルマンの作による3部作。

ariari大絶賛のファンタジーなのでございます。
登場人物からして険しい人々が目白押し。主人公は想像力のかけらもない嘘つき少女ライラ。その両親が特技、二枚舌のコールター夫人、と策謀家アスリエル卿。濃いキャラばっかり。胸に一物もって行動しないと沈没してしまう世界なのだった。

物語は、天使、教会、知的生物共和国(うまい言葉がみつからない)の三つどもえバトル。
カトリック教会(キリスト教全部と言ってもいいでしょう)に正面切ってケンカうってるような物語ざんす。読め読め。読んで読みたおそう。


「黄金の羅針盤」「神秘の短剣」「琥珀の望遠鏡」
フィリップ・プルマン作 大久保 寛=訳
新潮社 各¥2800

各巻のタイトルは、物語を左右する重要アイテム。
黄金の羅針盤は、未来を予測するお告げ盤。
神秘の短剣は、パラレルワールドへの道を開く。
琥珀の望遠鏡は、生命の輝きを見せてくれる。
児童文学と銘打っていても、中身はかなりヘビー。気を引き締めて読み出そう。


屁理屈な子供
子どもは屁理屈が好き。
大人は子どもの屁理屈が嫌い。

02.09.26

理屈もきらいじゃないけど、屁理屈はもっと好き。
土屋賢二『哲学者かく笑えり』

屁理屈には発見の喜びと世界感がひっくり返る面白さがある(少なくとも屁理屈を考え出した本人にとっては)
本人以外にもじゅうぶん楽しめる屁理屈をこねられる貴重な存在、土屋賢二哲学博士。エライ!

ダイエットしたいけど不精者は「健康法の原理」と「スポーツは有害である」を読もう。自信がつきます。

パソで苦労したことのある方は「効率的な無駄の作り方」を参照。理解が深まります。

わたしの子供時代、良くあった光景のひとつに
「子供のくせに屁理屈言うな!」頭をパコパコ叩かれるってのがありました。
屁理屈考えるより、無言実行、実になることをせい! ってことですね。
両親に共に屁理屈を楽しんでくれる余裕があったら、わたしももうちょっと違う道が開けてたかもしれません。

まあ親にしょっちゅう頭をパコパコされてたってことは、無駄な鉄砲を山ほど打っていたわけで、学習能力がない証明だから道は同じだったでしょうけど。屁理屈のレベルもおして知るべし。


『哲学者かく笑えり』土屋賢二
講談社文庫・¥495

屁理屈の技をみがくには屁理屈仲間の存在が不可欠です。佐藤悦久氏との往復書簡を読んで納得。やっぱライバルがいないとね。
WEBサイト「土屋賢二公式ホームページ(不完全版)」 もあります。笑うよ。
掲示板はヘリクツミガキの修業場になっている模様。


砂嵐の星
荒れ果てた砂嵐の星
アナレス

02.9.26

面白い。けど理屈多し。リアリティを持たせるためにはこのくらいの理屈は盛り込まんといけないってことかしら。でも面白いんだからしょうがない。

アーシュラ・K・ル・グィンの『所有せざる人々』
今まで読んだル・グィンもので一番の難物でございました。まず主人公の職業が物理学者、しかも「どこでもドア」を実現可能にするかもしれない同時性理論を研究中なのだ。彼の育った世界はオドー主義の革命家たちが移住したアナレス星。理論と思想が何層にも重なった実に重たいミルフィーユ作品なのでございます。

この説明だけでもずいぶん理屈っぽいなあ。でも読み始めたら面白いんだから許されたし。仮想社会に説得力を持たせるにはこんくらいは書き込んでいただかないとね。


『所有せざる人々』アーシュラ・K・ル・グィン作 佐藤高子=訳
ハヤカワ文庫・¥700

この作品に描かれただけでもウラス星とアナレス星の描写は濃密。でもル・グィンの頭の中には描かれなかったウラス星とアナレス星がもっとびっしり詰まってるのだろうなあ。
感動、感嘆ものです。